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「理想の自分」を考えた先にあるもの

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企業の副業の容認、推進が進む中、先日、国家公務員に対し、条件付き兼業許可の推進を検討しているという報道がありました。現在、公務員は基本的に兼業(副業)が禁止されていますが、深刻な人手不足対策に伴い、政府としては兼業を推進していきたいようです。
薬剤師業界にも今後、副業推進の波はくるのでしょうか、気になるところです。
今回は、東京・田原町に薬局を出店しているFUNmacy株式会社の小嶋代表取締役(以下、小嶋さん)に薬局としての副業に対する姿勢、そして薬剤師が副業をするメリットについて伺いました。

会社としての副業の姿勢

編集部:御社では副業の許可はしていますか?

小嶋さん:副業については禁止も推進もしていませんね。副業すること自体は容認していますけど。あくまでも自分がなりたい姿があってそれを逆算していく、その過程においてうち以外で仕事をすることについては応援しています。
そもそも私は薬局以外で別の仕事をしたり、別の活動をしたりすることに対して「副業」という概念を持っていません。私自身、学生時代に起業をしていましたし、薬学部に入る前には正社員として飲食業界で働きながら家庭教師の仕事もしていたので、いろいろな仕事をする、活動をするのは当たり前のことでした。薬剤師資格を取得してからも独立するまで複数の職場で働いていたので、一つの団体にしか身を置かない、一つの仕事をしかしないことはなかったんです。どんな自分になりたいのかを常に考えて行動すると、自然とこういった働き方になっていきました。現在も、薬局の経営者、独立コンサルタント、起業支援家と3つの顔を持っています。3つともすべてがいわゆる本業のような形です。

編集部:お話をうかがっていると、「副業」ではなく「複業」の方が合っているように思えますし、「副業」や「複業」を超えたところで活動をされていることがよくわかりました。薬局の従業員の方で小嶋さんのような働き方をしている方はいますか?

小嶋さん:はい、いますよ!薬局外でも活躍しようと奮起している方がいます。私は独立支援の仕事をしていることもあるので、すべてが中途半端にならないように、今の働き方の目的は何かを常に一緒に考えるようにしています。

独立するまでのキャリアの変遷

編集部:確かに複数の団体で活動していると、人によっては中途半端になってしまうこともありそうですよね。自分の思考を整理することや、今のフェーズにやるべきことなのかはよく考える必要がありそうです。話が少し変わりますが、薬剤師資格を取得してから薬局の経営者になるまでにはどんな働き方をしていたんですか?

小嶋さん:薬局を立ち上げる前は、週8日ほど働いていました(笑)。独立前のいわゆる武者修行みたいなものです。9時から18時まで薬局で働き、19時からクリニックに行き調剤室で調剤の指導をしていました。その頃は独立に向けて、調剤や服薬指導のスキル、薬の知識を身に付けるためにがむしゃらに働いていましたね。

編集部:それはまた大変でしたね。独立に向けてのフェーズであれば、その働き方は妥当だと言えますね。その頃のご経験からうかがいたいのですが、薬局やドラッグストアで働く薬剤師さんが、別の薬局やドラッグストアで働くことのメリットは何だと思いますか?

複数の会社で働くメリット

小嶋さん:対人スキルが上がることと、処方箋に対して度胸みたいものがつくことですね。対人スキルに関してですが、やはり色々な人と話す機会が増えてくるのでコミュニケーション力がつくと思います。例えば薬局で働けば患者さんはもちろん、職場の同僚や処方元のドクターや看護師さんなど様々な人とコミュニケーションをとることになりますよね。複数の職場にいることだけで話す人の数が増えるので自然とコミュニケーション力が磨かれると思います。そしてそればいわゆる「人間力」の向上にもつながると思います。「人間力」にもいろいろな要素がありますが、特に人の心を動かす力がつくのだと思いますね。
処方箋に対する度胸というのは、同じ内科や皮膚科でもドクターが変われば処方する薬が異なりますので、どんな内容の処方箋がきても、驚くことはなくなりました。また、薬の知識も増えたので、薬の知識がつくのもメリットの一つではないかと思います。

編集部:「薬の知識がつく」と「人間力が上がる」というのは、すごく良さそうですね。実際、転職希望の薬剤師さんの中にも薬の知識を増やしたい方や、人間関係に悩む方がいらっしゃるので、その辺のヒントにもなりそうです。
最後に、副業を考えている薬剤師さんに何かメッセージをお願いします。

小嶋さん:一つの場所で働き続けることは、それはそれで勉強になることだと思います。また、単純にお金を稼ぎたい人はその目標に向けて、副業をすれば良いと思います。私は積極的に副業(複業)をした方が良いという気持ちがあるのではなくて、あくまでも自分がどうなりたいのかを考えた先に、他の薬局で働くという選択肢や、薬局以外の場所で働く選択肢があれば、その選択をすれば良いのではないかと考えています。
その上でまずは、理想の自分は何か、どんな自分になりたいのかを考えてみるところから始めてみてはどうかと思います。そして、すべてが中途半端にならないためにも、どの段階で何をやるべきなのかを、突き詰めて考えた方が良いと思います。

編集部:理想の自分を考えるというのは、自分のキャリアを見つめなおす、もっと言うと人生を見つめ直すという意味でとても大切な作業な気がしますね。本日はありがとうございました!

FUNmacy株式会社
代表取締役 小嶋夕希子
大学卒業後、一般企業に就職。その後薬学部に入学し2016年にFUNmacy株式会社を設立。薬局の経営、独立コンサルタント、起業支援家と3つの仕事に従事している。
カテゴリ: 
コラム
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