薬剤師さんが副業の一つとしてできる仕事に英語の翻訳業務があります。英語の翻訳業務はほとんどが在宅でできてしまうので、子育て中のママ薬剤師さんや介護をしている方などにとっては、比較的チャレンジしやすい副業です。薬剤師さんの大半は薬学部5年頃でゼミに入ると、英語の論文を読む機会があることもあり、比較的英語が身近にあったはずです。薬学生の頃を思い出し、もう一度英語に触れてみるのも良いのではないでしょうか。翻訳の仕事の中では医薬品関係に詳しい翻訳者というのは重宝されるので、極めれば副業の域を出る可能性もあります。

翻訳の仕事を受ける際の心得

翻訳の仕事は様々ありますが、英語のスキルによってできる仕事が異なります。できれば自分がどの程度の英語のスキルがあるのかを知っておいた方がトラブルを防ぐためにも良いかもしれません。特にTOEICの点数や英検の資格など、仕事を発注する側からみた際、だいたいどれくらのスキルがあるか把握できるような基準を持っておくと便利だと言えます。

一方で、案件を受ける際、英語のスキルチェックテストを受け、クリアしないと仕事を受けることができないものもいくつかあります。このスキルチェックによりスキル不足の場合は自動的に対象外となるので、スキルの基準をわざわざ持っておくことは必要ないかもしれません。しかし、長期的に翻訳の仕事をしたいと考えている薬剤師さんであれば、スキルの基準を持っておくことで報酬の交渉がしやすくなる等、メリットも多くなるので、TOEICや英検の受験を一度検討してみると良いでしょう。

翻訳の仕事の内容

翻訳の副業案件は、誰でも求人を掲載・修正できるクラウドソーシングサービスをみるとたくさんの案件が掲載されていますが、中には詐欺に近い案件や法律的な観点でグレーな案件も多くあります。知らずに応募した結果、法律に違反してしまうかもしれないので注意が必要です。合法的で信頼性の高い副業案件かどうか確認しましょう。

翻訳案件には、例えば、ECサイトの翻訳作業やWEBサイトの翻訳などがあります。英語から日本語に翻訳する案件や日本語から英語への翻訳案件もありますので、ご自身が得意な方を選ぶと良いでしょう。
その他にも試験問題の作成、日本語の本の翻訳、動画の翻訳などもあります。ご自身の英語のスキルに合わせて選びましょう。

薬剤師としての知識を生かしたい方は

薬剤師としての知識を生かしたい場合は、医療翻訳の仕事をするという選択肢もあります。医療翻訳の仕事は、例えば薬に関する症例報告の翻訳や臨床試験データの翻訳、日本語の医療文献の翻訳などがあります。また、最近は医療ツーリズムという日本の医療を受けるツアーも外国人の間では人気となっていることから健康診断や治療の際のコーディネーターの仕事募集も出てくるようになりました。医療翻訳の場合、週3日~4日程度のアルバイトや派遣の募集が多いものの、一度会社との信頼関係を構築してしまえば単発の案件を依頼される可能性もあるので、興味のある薬剤師さんは一度問い合わせをしてみても良いかもしれません。

そして、薬剤師としての知識を生かすということからは少し外れてしまいますが、化学や物理を勉強したことがある薬剤師さんにとっては特許翻訳という仕事も選択肢の一つとして考えられます。特許翻訳とはいわゆる特許出願の際に必要な発明技術や権利の範囲を記した書類の翻訳業務です。特許翻訳の仕事は電気・通信・情報処理などの分野が多く、特許出願者とコミュニケーションを取りながら進めていきます。どの単語を使うべきかなど細かな点を確認しながらコツコツと進めていく作業なので、調べものが苦ではない人やコツコツと作業する人が好きな人にはおすすめです。なお一昔前はその専門性の高さゆえ、高額な報酬を請求できましたが、昨今はそこまでの報酬は出ないといいます。しかし専門性が高く、できる人が限られているので他の分野の翻訳業務と比べたら報酬は高い傾向にあります。

副業で翻訳の仕事をするメリット・デメリット

薬剤師さんが副業で翻訳の業務をするメリットは自分のペースで仕事ができる点にあります。また出勤時間、退勤時間という概念はないので限られた時間の中で仕事をしなくてはいけない人にとってはおすすめです。特に地方に住んでいる薬剤師さんにとっては、オンラインで完結できる仕事というのは効率的に稼ぐという点においては魅力的ではないかと思います。

一方、デメリットは仕事の性質上、自分で調べながらコツコツ仕事をこなしていく必要があるので、働きすぎてしまう恐れがあります。本業のお昼休みや、プライベートの時間を犠牲することで体調不良になることも少なからずあるので注意が必要です。まずは簡単な仕事から受けて、自分にとっての最適な仕事のペースを把握した上で難しい仕事にチャレンジしたり仕事の本数を増やしたするのが良いでしょう。体力はひとそれぞれ異なりますので、自分の体調を考慮しながら進めてみてください。

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