会社で副業が禁止されている薬剤師さんにとって、副業がばれるのは避けたいもの。どんな時に会社にばれてしまうか、ばれたらどうなるかについて解説します。

住民税の徴収額が上がることでばれる

よく言われるのが、住民税の徴収額が上がることで副業がばれることです。毎年6月は住民税の切り替わり月なので、前年度の年収に応じた住民税が設定され、給与から引かれます。(会社によっては7月からの場合もあり)住民税は毎月会社から支払われるものなので、
住民税の振込をする際に、大幅にあがった金額をみて、副業がばれてしまう可能性があるのです。特に小さな薬局で働いている薬剤師さんの場合は、社長が自身で毎月の住民税の振り込みをする場合が多いので注意が必要です。

生活態度の変化でばれる

住民税以外に副業がばれる要素としては、生活態度の変化が挙げられます。副業がばれるのは住民税の上がるタイミングだというのは、比較的有名な話ではありますが、住民税よりも何よりも副業がばれてしまうのは生活態度の変化だと言われています。

<生活態度の変化の例>
・遅刻が増えた
・急に残業を気にするようになった
・服装やネイルなどが派手になった
・業務中に居眠りをするようになった
・シフト希望について細かく依頼するようになった

生活態度の変化というのは、たとえ自分の上司が気付かなかったとしても、同僚が気付き、それを上司に伝えるというケースも少なくありません。会社で副業が禁止されている方は、そもそも会社にばれずに副業をすることを考えるのはやめましょう。

副業がばれたらどうなるか

副業が会社にばれてしまった場合、どうなってしまうのでしょうか。一般薬剤師、管理薬剤師、それぞれ処遇が異なります。

【一般薬剤師の場合】
会社の就業規則において副業を禁止している場合は、就業規則違反となり、就業規則が定めている懲戒処分の対象となります。

【管理薬剤師の場合】
管理薬剤師の場合は、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)と薬剤師法が関係しているため、以下の罰則が科せられる可能性があります。

1:会社においては就業規則違反として懲戒処分(戒告・減給・解雇等)
2:薬剤師法第8条に定められている免許の取消等の処分

まず、管理薬剤師(店舗管理者)の管理責任および、兼業禁止については、薬機法7条と第28条に規定されています。

第七条 
1 薬局開設者が薬剤師であるときは、自らその薬局を実地に管理しなければならない。ただし、その薬局において薬事に関する実務に従事する他の薬剤師のうちから薬局の管理者を指定してその薬局を実地に管理させるときは、この限りでない。
2 薬局開設者が薬剤師でないときは、その薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師のうちから薬局の管理者を指定してその薬局を実地に管理させなければならない。
3 薬局の管理者は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であつてはならない。ただし、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。

第二十八条 
1 店舗販売業者は、その店舗を、自ら実地に管理し、又はその指定する者に実地に管理させなければならない。
2 前項の規定により店舗を実地に管理する者(以下「店舗管理者」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、薬剤師又は登録販売者でなければならない。
3 店舗管理者は、その店舗以外の場所で業として店舗の管理その他薬事に関する実務に従事する者であつてはならない。ただし、その店舗の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。

7条と28条に関する違反については、同法86条に以下のように記載されています。

第八十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第七条第一項若しくは第二項、第二十八条第一項若しくは第二項、第三十一条の二又は第三十五条第一項若しくは第二項の規定に違反した者

第86条をみると、罰則の対象となっているのは第7条、第28条共に1項と2項のみであるため、薬機法上、管理薬剤師が副業をしたことに対する罰則はないという見解となります。

次に薬剤師法ですが、同法8条2項では「薬剤師が、第五条各号のいずれかに該当し、又は薬剤師としての品位を損するような行為のあったときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる」と定めています。

第八条 2 薬剤師が、第五条各号のいずれかに該当し、又は薬剤師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 三年以内の業務の停止
三 免許の取消し

薬剤師倫理規定上、薬剤師には薬剤師法、薬機法等の関係法令を守ることが義務とされていることからすれば薬機法の条項に違反する形での副業は、薬剤師法に定める「薬剤師としての品位を損するような行為」に該当する可能性が高いと言えます。そのため、戒告、三年以内の業務の停止、免許の取消しなどなる可能性があります。

どうしても副業がしたい場合はどうすればいいか

管理薬剤師を除き、一般薬剤師の方でどうしても副業がしたい場合は、副業をする前に会社に相談をしてみましょう。例えば、会社のPRになる可能性がある仕事の場合などは、特別に副業の許可が出る場合があります。その他にも、仕事の案件によっては報酬を金券などの現物で渡す場合があり、この場合は、現金で報酬をもらうよりも比較的ばれにくいため、ある意味ではばれにくい方法とも言えます。とはいえ、同僚や友人を通じて副業をしていることが上司の耳に入るなど、副業がばれるリスクは拭えないため、おすすめできません。副業したい方の多くは、お金を稼ぎたいという動機があると思います。会社で副業が禁止されており、特別な許可が出そうもない場合は、思い切って副業ができる会社に転職してしまうのも一つの手かもしれません。

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