確定申告とは

確定申告とは何でしょうか。確定申告をしたことがない、やったことはあるけどよく分からないという薬剤師さんも多いと思います。

所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税の額を計算し、源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合には、その過不足を精算する手続です。

国税庁タックスアンサーNo.2020

確定申告というのは、前年の1月1日から12月31日の収入・所得を全て集計して、国や自治体に納める税金の額を申告する作業です。私たちは収入(所得に応じて)所得税・消費税・固定資産税など様々な税金を納める義務があるわけですが、国が税金を計算して請求書を送ってくるのではなく、納税者が納める税金の額を計算して申告・納税する仕組みになっています(もちろん計算が間違っている場合には、税務署から指摘されることがあります)。

大部分の給与所得者の方は、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了しますから、確定申告の必要はありません。

国税庁タックスアンサーNo.1900

普段、確定申告する必要がないのは何故でしょうか。それは、薬局や病院で働いている場合、確定申告の代わりに薬局や病院が年末調整という形で、税金の額を計算し過不足を調整してくれるからです。是非はともかく、この年末調整という仕組みのおかげで、日本では個々の労働者が納税について意識する必要はなくなっています(例えばアメリカでは基本的に納税者それぞれが確定申告を行う必要があります)。

確定申告が必要なのは?

では、確定申告が必要なのはどのようなケースでしょうか。

  1. 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
  2. 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
  3. 2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
  4. 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
  5. 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
  6. 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
  7. 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人

国税庁タックスアンサーNo.1900

これだと分かりにくいので、薬剤師の皆様のケースで言えば、主に以下の2つが該当します。

  • 副業や不動産収入など、本業の薬局や病院以外からの収入が年間20万円以上あるケース
  • 2つ以上の会社より給与を受けていて、金額が少ない方の給与が年間20万円以上あるケース

加えて、そもそも給与所得者ではなく個人事業主として働いる場合や年の途中で退職して年度末にはどこからも雇用されていない場合、年末調整をしてくれる会社がないので当然に確定申告が必要になります。また、以下のように特別な控除を行って納税額を少なくする場合(還付申告)にも必要です。

それぞれの対応方法については、別の記事で解説します。

確定申告の種類

収入額などに応じて、白色申告・青色申告のいずれかの申告を選びます。副業での収入があまりない場合は白色申告で十分かと思います。皆様の事情に合わせて選んでください。

  • 白色申告:事前申請*なし、青色申告にある控除額がない、簡単な帳簿を付ける必要がある
  • 青色申告(10万円控除):期限後申請*でも可、10万円の控除が受けられる、簡単な帳簿を付ける必要がある
  • 青色申告(65万円控除):事前申請*あり、65万円の控除が受けられる、複式帳簿を付ける必要がある

*申請:青色申告承認申請。開業から2ヶ月以内に申請する必要がある。

会計ソフトを利用する

確定申告をするには1年間の収入や経費をまとめる必要があります。白色申告、青色申告、それぞれでやり方が異なりますが、やよい会計やfreeといった会計ソフトを利用すれば入力をするだけで簡単に確定申告の書類ができます。多くの会計ソフトは有料ではありますが、白色申告にいたっては無料のものもあるのでぜひ探してみてください。書類ができあがったら、書類を印刷してお住まいの地域の管轄の税務署*に持っていくか、郵便または信書便を利用して送付します。

*通常、お住まいの地域の管轄の税務署で確定申告を行いますが、法人の場合などは異なります。
※税務署へ送付するときの注意点:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/sofu/index.htm(国税庁)

納税して完了!書類は7年間保存すること

確定申告の資料を作成し、税務署に書類を渡したら、あとは納税するだけです。納付書は税務署、確定申告の申告会場、一部の金融機関窓口にあります。確定申告の期日は2018年は2月16日~3月15日。納税も含めての期日なので、くれぐれも注意しましょう。

また、確定申告の際に作成した帳簿や決算の書類、金銭取引などの書類は7年間保存しなくてはいけません。また、見積書や納品書などの書類は5年間保存する必要があります。原則、紙の書類で保存することになっていますので、破棄・破損に注意しましょう。

関連記事:薬剤師が業務委託で働く時の注意点

おすすめ記事

アンケート

副業としてできるアンケートの種類 アンケートにはwebアンケート、書面でのアンケート、電話アンケート、直接アンケート(会場に出向く)といった種類があります。アンケートは主に、製薬会社、人材紹介会社、…

薬剤師の副業・在宅業務には何があるの?

薬剤師の副業・在宅業務にはどんな仕事があるか、気になる薬剤師さんは多くいらっしゃるはずです。病院、調剤薬局、ドラッグストア、そのほかの企業の求人などの概要を紹介していきます。 医療機関の仕事 関連記…

スポット勤務

スポット勤務とは、調剤薬局やドラッグストアなどの企業側と薬剤師さんが直接雇用を結んだ上で一ヵ月のうち1日のみ、週1日の勤務を三ヵ月間のみなど、短期間だけ働く勤務条件のことを指します。スポット派遣とは…