スポット勤務とは、調剤薬局やドラッグストアなどの企業側と薬剤師さんが直接雇用を結んだ上で一ヵ月のうち1日のみ、週1日の勤務を三ヵ月間のみなど、短期間だけ働く勤務条件のことを指します。スポット派遣とは異なり、年収の制約や年齢の制限などもないので、比較的どなたでも勤務しやすい場合が多くあります。

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スポット勤務にはどんな仕事があるのか

薬剤師の副業の一つとして考えられるスポット勤務にはどんな仕事があるのでしょうか。ここで一例を紹介します。

調剤薬局、ドラッグストア、病院

調剤薬局、ドラッグスア、病院などでの調剤業務、服薬指導などがあります。服薬指導や調剤業務など、主に任される仕事はその企業、薬局やドラッグストアの店舗ごとに異なりますが、スポット勤務で来る薬剤師さんでもすぐにできるような仕事を依頼されるはずなので、不安に思う必要はありません。なお、病院の勤務においては、スポット派遣にみられる制限*はありませんので、転職するほどではないものの病院での経験を積みたい薬剤師さんにとってはおすすめです。

*薬剤師さんが病院でスポット派遣として働く場合は紹介予定派遣か、産休・育休社員の代替え要員のみに限られる。

企業内

製薬会社や出版社、IT企業など病院、調剤薬局、ドラッグストア以外の企業でのお仕事があります。仕事内容は企業によってまちまちですが、データ入力やライティングなどがあります。どれも薬剤師の職能を生かせるような仕事ばかりなので、気軽にチャレンジできます。

スポット勤務のメリット

魅力1:スポット派遣よりも仕事の種類が多い

薬剤師さんが副業としてスポット勤務で働くメリットは、幅広い企業、業務の中から好きな仕事を選べる点です。前述にもあるように直接雇用であれば病院の勤務に制限はありません。また、薬剤師のスポット勤務は、スポット派遣と比べると企業側が負担するコストが約半分になるため、企業側は求人を出しやすい傾向にあります。派遣ではなかなか求人が出せない病院や調剤薬局も、直接雇用であれば出すことができるケースもあるので、スポット派遣と比べるとスポット勤務の方がより選択肢が多くなります。

魅力2:業務の知識が付く、臨機応変に対応できるようになる

例えば、薬局やドラッグストアで働く場合、調剤業務、服薬指導などの業務内容は同じであるものの、処方箋の内容や、処方元の医療機関が違うだけで対処の仕方が少しづつ異なります。疑義照会に関しても馴染みではない医師に対して、どう伝えれば良いかを考える必要もあります。以上のことから、他の店舗で働いてみることで、薬に関する新たな知識が増えたり、臨機応変に対応できる力が付く可能性があります。

魅力3:今の仕事を見直すきっかけになる

今働いている薬局やドラッグストアなどの店舗のルールや患者様との接し方に自信はありますか?いつもと異なる職場で働くことにより、その職場のルールやそこで働く薬剤師の方の仕事の仕方と、自分の職場のルールや自分の仕事の仕方を比べることで、仕事について見直す良いきっかけになります。「自社の常識は他社にとっての非常識」というのはよく言われること。理由を気にすることもなく、ただ行っていたことが、実は意味がないことに気付くかもしれません。反対に、やるべきことに気づく良いきっかけになる可能性もあります。

スポット勤務のデメリット

デメリット1:トラブルを自分で解決する必要がある

薬剤師さんが副業としてスポット勤務をする際のデメリットは、トラブルが発生した際に調剤薬局やドラッグストアなどの企業側と直接話し合いをして解決しなければならない点です。特に勤務条件に関してはトラブルにつながりやすいので、事前に書面で雇用契約書の取り交わしを行った方が良いでしょう。また、薬局などの企業側の事情により、事前に聞かされていた内容と異なる仕事を任され、それがご自身にとってやりたくない仕事であった場合、断りずらい点も挙げられます。なるべくトラブルが起きないように事前に確認を怠らないようにしましょう。

デメリット2:残業を断りづらい

例えば、20時までの約束で雇用契約書を結んでいたにも関わらず「急患があるので、すこしだけ残業してほしい」と、お願いされてしまうとなかなか断りずらいもの。スポット派遣の場合であれば、コーディネーターを通じて残業はできないと断ることは容易ですが、直接雇用の場合は、強い意志がない限りは難しいでしょう。しかも一度でもOKしてしまえば、この先も続く可能性が高いので厄介です。

デメリット3:働きすぎて体調を崩す可能性がある

直接雇用で副業をすると、労働基準法で定められている労働時間を大幅に超えることになります。あくまでも余暇の時間を利用して、気分転換として働くことにしたとしても、気付いたら働きすぎてしまっていたということも少なくありません。薬剤師の仕事の中には、ピッキングや監査などの細かい作業がつきものであることを考えると、身体が疲れているのに仕事をするのはあまり良くありません。身体の疲れや気力の低下が原因でヒヤリ・ハット、調剤過誤などを起こさないように気を付けましょう。

スポット勤務を活用すれば転職先も見つかる?

転職を考えているものの、その企業に転職してしまっても大丈夫か不安な場合、試験的にスポット勤務をしてみて実情を探ってみるのは良いかもしれません。特に人間関係で不安がある薬剤師さんは良い選択肢です。職場というのは一人欠けても、一人増えても、人間関係のバランスが変わっていきます。ですから、ご自身がいる状態で人間関係はどうなるのか確認してみましょう。特に調剤薬局やドラッグストアでは、限られた人数で仕事をする理由から、人間関係が悪くなりやすいというのを度々耳にします。これまで人間関係が理由で転職を繰り返している薬剤師さんは副業をしてみることをおすすめします。

関連記事:薬剤師が業務委託で働く時の注意点

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